2008年06月28日

The macallan 1977


 温泉に浸かった後、barで飲みました。私は酒というよりもその空気が好きで、たまに本を読みながらbarで一時を送ります。

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 プロヴァンスの修道院で創ってる『peche』という名の桃のリキュールをテイスティングし、北海道の地ビール、『ひぐま濃いビール』という黒ビールを飲みました。


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 ‥と、ここまでは普通に美味しいお酒なのだけど、問題はこの次に口にした、ヴィンテージ・スコッチ『The macallan 1977 serial-298 』です。




  ……………………………………。。。。 ??????




 これは凄い、‥というか、お酒を飲んでる、というよりも、何か別の体験をしてる気がするくらい不思議な体験でした。


 喩えると、口の中やお腹を柔らかなシルクで優しくふわっ、と撫でて貰う様な、そして創り手の心の世界や、スコットランドの風景や伝統の世界が、突然目の前に現出するかの様な、それはほとんど美術館で芸術品を鑑賞するのと同じ種類の体験でした。

 
 驚きました。。。。。 たぶんこれこそ、嘘偽りの無い、本物のお酒の世界なのでしょう‥。


 今まで人生で飲んだ中でも、最高のお酒のテイスティングの瞬間でした。


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 これは1977年製のビンテージなのですが、スコッチのロールスロイスと形容されるmacallanの中でも、一切の混ぜ物をせず、樽から直だし手作業で瓶詰めしたものです。

 つまり同品質のものは、一つの樽からとれる数十本のみです。それは二度と同じ味には成りません。それに数十年寝かせる課程による経年変化が加わり、創り手のスピリッツと自然の偶然が生み出した産物です。

 たまたま、メニューにも載せて無く、これが最後の一杯、というのを頂きました。



 私は今し方スコットランドに旅して来た様な至福に包まれました。。



マスターと一時ソウルフルな話題を楽しんで、最後に林檎の生絞りジュースを飲んで帰りました。






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2008年06月27日

sukiyaki western django

http://www.so-net.ne.jp/movie/sonypictures/homevideo/sukiyakiwesterndjango/


 三池監督のスキヤキウェスタン(!?)『ジャンゴ』を観ました。

 これまた素晴らしい傑作!なんというか「映像作家魂」を感じました。


 私は日本映画ファンでは無いのであまり知らないのですが、三池作品に友川かずきさんが出演、という話題でこの人の名前を知りました。


 映画の内容云々は実際に観ていただくとして‥、私の目を惹いたのは、題字書です。背景美術にまでに及び全編、同じ人の手によるものだと思いますが、もの凄く良い仕事をされています。


 我々はさすがに線を観ただけで、誰が書いたのかすぐに解るのですが、最近、雑誌やマンガなどで若手書家と自称してる人が書いてるものがよく目に止り、その線や結体の悪辣さ加減に、正直、心底げんなりしてしまい思わず目を背けるのですが、この仕事をされた方は、本物です。私は各所に散らばるその人の書に目をぐいぐい惹かれてしまいました…。


 テロップには「岡本美香」さん、とあります。


 デザイン書とか言って馬鹿げたナメた書を書く人が多い中で、こんな人が居るのだな、と嬉しくなりました。


 三池監督という人は、友川かずきといい、この人といい、本物を良く解ってる人ですね。感服いたしました。タランティーノも良い味を出してました(笑)。


 こういう作品こそ、世界に出で欲しいです。




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posted by サロドラ at 04:48| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月25日

solo jazz guitar


 あ〜面白かった。

 今回のは実はduoでするつもりだったのですが、たまたまsoloに成ってしまいました。

 全編インプロビゼーションのsolo jazz guitarは、やはりとても技術的に難しいのですが、凄く修行に成りました。

 そして、途中これまた当日に思い立って入れたポエトリーリーディングも、やってみると意外な方向に走って面白かったです。自分らしさが出たのは、皮肉にもやはりこちらでしたね(汗)。


 御来場の皆様ありがとうございました(_ _)!


 今度はsoloはおそらく9月くらいにやります。次回はさらにパワーアップするぜい!!!


  2008 6 23 SALONDORANJU SOLO set list

1st

 Blue monk
 Summertime
 Solar
 In a sentimenntal mood
 Resolution


2nd

 All the things you are
 Misty
 Chorus 66th ~Jack Kerouac (Poetry reading)
 Chorus 171th ~Jack Kerouac(Poetry reading)
 My funny valentaine ~with mahhh(vo)
 Blue sky ~with mahhh(vo)
 Alice in wonder land
 Superstition

encore
 
 'Round midnight





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2008年06月23日

草書体

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 今日は皆さん草書体の勉強です。しかしこう矢継ぎ早にどんどん進めていますが、大丈夫なのでしょうか? 通常は教室だと何年もかけるところを、一応課程通りに進めねば成らないので、仕方が無いのですが‥。少なくとも社会人としての知識の一旦にも成れば講師としては幸いです。 
  

 さて草書体…。30年前なら草書体も実用の範疇だったのですが、それは今の日本では望むべくもありません。。


 少し前、東京で会社経営をしていた叔父が、父に宛てた手紙をたまたま発見したのですが、37年前のその手紙には流麗な草書体で、宛名が書いてありました。下手すると書家の父よりも、遥かに巧いそのペン字に、戦後の日本が失ってしまった精神性を私は垣間見ました。


 その叔父‥父の兄弟の長兄なのですが、今は私の実家にある明治時代製の大きな仏壇の前で、末弟の私の父は、早くに父(私の祖父)を亡くした為、父親かわりだった長兄によく叱られたそうです。戦前の話しです。


 私達戦後日本が失った最大のもの。


 それは父性です。


 父性を失う、とは、それは「精神原理」を失う事です。


 私がまだ小さな頃に東京で会った記憶の中の叔父は、経営者らしく瀟洒な邸宅に住むとても粋な紳士でした。今でもよく憶えています。厳しかった叔父が亡くなった時、父は心底号泣していました。「おまえ、西村の家を頼むぜ」と亡くなる間際に父に囁いたそうです。


 私の心の内にある「ダンディズム」への憧憬は、どうもこの叔父にある様な気もします。



 しかし‥今からでも遅くはないのでは無いでしょうか? 失ったものを取り戻すのは。


 私はそう信じています。


 精神には肉体以上の価値があることを‥。









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2008年06月18日

Live 告知


SALONDORANJU SOLO JAZZ GUITAR LIVE
6/25 wed pm8:30〜 at porsche

今回はlaptopやvo無しのソロギターでたっぷりjazzをやります。

日常の喧噪の合間に、渋い音楽の夜のひとときをお望みの貴方にぜひどうぞ。



演奏内容は、たぶん‥
もしもPaul Bleyがguitarを弾いたら…、もしもGeri AllenがGuitarを弾いたら…、もしもDavid Lynchの様なシュールレアリストがjazzを演奏したら…、っという雰囲気に成ったらいいよなぁ…、、…いやっ、絶対そうしよう。

 アブストラクトなjazzをやる人、この辺りには全然居ないしね。。







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posted by サロドラ at 20:37| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月09日

INLAND EMPIRE



http://www.inlandempire.jp/index_yin.html

 …観ました。遂に観ました。この2年待ちに待って、カンヌで好評を博し、東京では封切りに成ってる噂を固唾を飲んで待って、更に待ってやっと観ました。

  



     …凄すぎる…。






 本物の天才の円熟の境地とはこういうものなのか?

http://www.davidlynch.com/

 この公式サイト上で3疋のラビット映像を観た時から、これは凄いと思ったら、完成品はそんな凡人の思いを超越した更に凄いものでした。今迄のLynch作品のエッセンスの全てを最高レベルで集結した3時間(!)でした。観終わって、しばらく呆然として、その後に無性に笑ってしまった。



 新たなチャレンジが随所にあり、映像も全てデジタルなのだけど、デジタルの薄っぺらな画質が、本来はリンチ作品に絶対合わない筈が、その静止画の質感の薄さをリンチの才能の塊が、凌駕してる、そこにまず驚きました。

 映像特典のLynchのドキュメンタリーフィルムも、公式サイトで垣間見たものを更に深めていて興味深い。印象に残ったのは瞑想に対する彼の哲学と、それを創作ワークとリンクさせる方法論。



 例えば彼曰く、

 『普通は良い創作には苦しみがともなう、と考えられている。しかし、それは作品にその苦しみが映し出されてしまう。楽しい事、楽しむ事に直感で追随し、行為そのものを楽しめば、それが良い作品を生み出す。行為の結果ではなく、行為それ自体にこそ、喜びの源泉があり、その結果、良い創作品が生まれる。』

 これはインド哲学の究極、カルマヨーガを想起させます。
 
 これと全く同じ事を、今年のpat martinoの来日インタビューでも、pat氏が発言されていました。

 『自分の全ての行いに於いて、今、この瞬間の行為を全霊で行うのだ、』と。


 素晴らしい最高の結果を、実際に出すお二人が言う事なのだから、これが事実〜リアリズムなのでしょう。
 
 きっと、世の中の多くの結果が出せない人というのは、これと逆に、結果の為に行為をしたり、行為の充実を無視して、結果の果報ばかりを考える人でしょうね。

 そして、世に結果を具体的に出す人というのは、結果ではなく、行為そのものに喜びの実質を感じる人なのでしょう。


 ま、兎に角…、おそらく現代映画史、芸術史に残る、物凄い作品を鑑賞しました。リアルタイムでこの作品を観れる事を心底幸せに感じます。



 ps 全然関係無いけど、ネットで拾ったネコ画。なんて愛いやつ。


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2008年06月06日

Geoff Muldaur

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 夕暮れの一時を、カフェ・フレッド・シェラカートで。



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 さて、今日は贅沢極まり無く世界遺産ギター弾きを堪能しております。ステージかぶりつき状態、本人の1m先くらいで、静か〜にたっぷりと聴かせていただきました。

 今日のハイライトは個人的に、Boby Charles作曲の『small town talk』と、「説明するのは難しいんだけど…」という紹介で歌った、1920年代に活躍した南部の伝説の盲目のブルースメン、Blind Lemon Jeffersonの墓を、彼の歌に因んで掃除をする為に、ニューオリンズからテキサスまで、geoff自身が若い頃にヒッチハイクで旅した時の歌、『Got to find Blind Lamon pt1』など。目の前で静かにプライベートで歌って貰ってるかの様な、最高の演奏でした。



 Paul Butterfield's Better Daysのファーストとセカンドは、白人ブルースの中でも、単なる黒人の物真似ではない、史上初めて白人で黒人音楽のブルースを、見事に消化してみせた史上最高の名盤です。その約半分の曲でvocalをしているのがGeoff Muldaurです。他にもスライドギターやピアノを弾く多才な人です。



 このアルバムが、J-pop第一世代の人達に多大な影響を与えたのですが、そのポイントは、憧れの音楽を自分達のものに消化する方法を、見事に示した点に尽きます。

 日本のpopsという根無し草の音楽を、どうすれば自分達の『本物の音楽』にできるか? このアルバムに影響を受けた人達は、あの当時それをやって見せたのじゃないかな?

 僕は彼等に対する思い入れを、それ程に持ってる訳では無いのだけど、そのやり方をとても尊敬します。

 まるで東京の路地裏の風景が見えてくる様な、細野晴臣や鈴木慶一のやった音楽は、今でもやっぱり素晴らしい。


 会場限定発売の本人が秘蔵音源を編集したCDを買って聴いてみましたが、細野晴臣がマリンバを叩き、Geofのgt,vo、Amosのgtの、ライブ音源『small town talk』は良かったです。

 あと意外な取り合わせのNYで'75年に録音された未発表デモ、Cornell Dupreeがgt soloを取り、Bernard Purdieがdrを叩く、『I can't stand it 』も期待通りでした。




 持参したBetter Daysのアルバムにサインをしてもらおうと座ってたら、Geoff Muldaurはじっ〜ぃと僕を見て『ギター弾きか?』と言って『弾き続けるんだ』とおっしゃいました。

 ういっす。貴方がBlind Lemon Jefferson達から受け継いだ音楽を、僕はアジアのこっちの方で、また下の世代に伝えますよ…。


 

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2008年06月05日

sue giles - jazz live movie


 先日のsue gilesさんとのライブ映像が、youtubeにアップされております。こうして他人目線で客観的に観ると、なんかオレらかっこいいムードっすね。なんかちょっとびっくりした…。



Summertime  (ちゃんとソロで私の手元にcamera zoomしてる…)



Everything must change (やはりこの日のハイライトはこの曲!)



Everything must changeは、他のリストアップ動画の映像と比較しても、我々のが最もcoolなトラックじゃない? Nina Simonなんかもいいですね。  










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2008年06月01日

藤原行成

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 仕事の合間に息抜きにcaffe ESCASAに行きました。このexoticというオランダのシガリロは旨い。。普段の私は煙草は吸わないのですが、創作モードに頭が突入してる時に、スモーカーに成ります。。
たぶん吸うのは年間15箱くらいかな…? 


 そう言えばblues musicianの有山さんも、煙草を吸わないと音楽のインスピレーションが来ない、という事をおっしゃってたよなぁ…。。我々は創作的な調子が良いとスモーカーに…?



 私が何か煙りをふかしてるのを見かけた方は、「あぁ、今こいつは調子が乗ってるな」と御判断ください(笑)。


 さて、今週は教室では皆さん大人から子供まで、藤原行成の「古今集関戸本」の仮名の臨書をして貰っています。


 前にもここに書きました様に、仮名の正確な書き方は、漢字の草書体を原形としています。即ち、草書の知識無しには仮名は書けない訳です。現在の学校の国語やお習字などでは、そこまで勉強してないので、こういう教室で書道の勉強をしていない多くの人は、それが漢字である事すら、よく知らないかもしれません。。



 小学校では英語が必須に成る様ですが、それは良いけど、クラッシックな日本語について、日本全体もっとよく思い出しましょう。今の我々は自分達の1000年分くらいの重厚で良質なものを忘れ過ぎです。せめて私の身の回りの範囲では、正そうと日々精進しております、はい。



 こういう事は、英語圏の人だったらラテン語を勉強する様なもので、それを知る事で言語の元の意味や成立ちの記憶を忘れない様にする、というのが最大の目的です。



 例えば、隣の韓国などは、ナショナリズムに毒された結果、本来は漢字文化圏で言語も相当範囲その影響化にあるにも関わらず、ハングルだけで読み書きする事を国是としてます。

 その結果、何が起るかというと、自分が喋ってる言葉の元の意味や背景が全然解らない‥、という自体に陥ります。ニュースを見てると、たまに彼等が妙な珍説を大声で言い出して驚きますが、これが大きな原因です。

 もしもですね、私達日本の成人諸兄が、47文字だけの平仮名や片仮名だけで、読み書きしてる状態を、ちょっと想像してみてください。どうですか、思いっ〜〜っきり阿呆に成りそうでしょ?、、幼稚園児じゃないんだから…。


 こういう事態に成ると、人間の思考回路は絶対におかしく成ります。




  我が日本は、こういう愚を絶対に犯してはいけません。




 英語を喋るのは別に全然良いのだけど、母国語を忘れて奇妙な日本語と、愚にもつかない、とってつけた浅い英語を喋るのは、国際人として恥ずかしい事です。
 
 特に子供は、深い言語能力を母国語で身につけるのであって、それを疎かにしては外国語も真に身につきません。



  〜関戸本古今集より〜


志きしまの 山とに者あらぬ 可らころ毛 ころもへ春して あふよし裳可那   
    
                         紀貫之



 現代表記  

 敷島の 大和にはあらぬ 唐衣 ころもへずして あふよしもがな     

 
 訳  

 敷島の大和には無い、唐衣… 時を経ずして、あなたと逢う事ができたら‥。

 



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