2015年12月30日

日本人の微笑 〜魂のプライド〜


 年の瀬に、あるひとつのエピソードを。

 昨年、私がこの文章に触れてから自分に鳴り止まない、ひとつの美しい詩句の様な挿話。

 それはアイルランドとギリシアを祖国に持ち、日本を愛して止まなかった一人の魂が観た、胸を震わせる魂の姿形だ。それは現代の、上っ面だけを着飾り、そうして薄汚い魂の泥まみれの日本人が失った最大の価値観だ。この話はたったの100年前の年の暮れ、日本の片隅で起きたごく小さな出来事に過ぎない‥。





 日本人の微笑にまつわる誤解は、一度ならず、とてつもなく不愉快な事件を引き起こしたことがあった。かつて横浜で商売をしていた英国人Tの場合が、その一例である。
 Tは歳取った立派なサムライを雇い入れていた。私の想像では、彼はT自身の日本語教師であり、他の役割もあったのかもしれない。彼は当時の風習に従って、頭に丁髷を結い、腰に大小の刀を帯びていた。

 現在でも、イギリス人と日本人とはお互いに非常に良くわかり合っているとは言えないが、ましてあの頃は、今よりずっとひどい状況だった。日本人の使用人たちは、当初、外国人の雇い主の許でも、日本の名家に奉公したときとまったく同じように振る舞っていた。そして、この罪のない誤解のおかげで、使用人を酷く、また無慈悲に使うことが、横行したのである。その結果、わかったことは、日本を西インド諸島の黒人と同じように扱うのは、実に危険だということだった。そのために何人かの外国人が殺害されたが、かえって道徳上の良い規範がもたらされる結果になった。
 話題を元に戻そう。Tはむしろ、この老いたサムライを気に入っていた。しかし、最もTの理解の埒外にあったのは、サムライの東洋的な礼儀作法や、深々とするお辞儀であり、かつTにとってはまったく意味のない、ときおり献上されるこまごまとした贈り物の品々であった。
 ある日、このサムライは頼みごとを持ってやってきた。私が思うには、それは大晦日の晩のことであった。理由は詳しくは述べないが、この日は誰かれもが金を必要としている。その頼みごとというのは、サムライが帯びている二本の刀のうち長い方と引き換えに、Tに金を幾らか借りたいということだった。その刀はとても美しい名品で、商人の目には非常に高価な品物に映ったから、躊躇なく金を貸してやった。何週間か後、老サムライは、無事、太刀を請け出すことができた。
 なにがその不愉快な出来事の発端だったのか、今ではその原因を知る由もないが、たぶん、Tがいらいらしていたのであろう。ともかくある日、Tは老サムライに怒りをぶつけた、サムライはといえば、Tの激怒を、微笑を浮かべ、低頭しつつ、甘んじていた。
 このサムライの態度が、Tを更に激昂させた。口汚く罵ったばかりでなく、相手の態度の変わらないと見るや、Tは彼にここから出て行けと命令した。それでも、老人は微笑を絶やさなかった。ことここに至って、Tは完全に自制心を失い、相手の老サムライを殴ってしまった。
  と、その時、Tは急に恐怖を感じた。あのサムライの長い刀が瞬間、鞘を離れたと思うや、Tの頭上で空を切ったからである。サムライは少しも老人らしく見えないどころか、若者のように敏捷だった。なにしろ刀の使い方を心得た者ならば、かみそりのような刃をもつ日本刀を両手に握れば、たちどころに、いとも簡単に人の首を刎ねることができるのである。しかし、Tがさらに驚いたのは、次の瞬間、老サムライは見事な早技で刀を鞘に戻すと、踵を返して立ち去ったことであった。


 不思議の念にかられて、Tはそこに座って考え込んだ。思いめぐらしてみると、この老サムライにまつわる、数々の良い思い出が浮かんできた。頼みもしないのに、見返りも求めずに、自分にしてくれた親切の数々、珍しい贈り物の品々、そして無類の誠実さ、Tは、段々、自分が恥ずかしくなった。それでも彼は、自分を正当化するためにこう考えた。
「結局のところ、非は相手にある。私が腹を立てているのを笑う権利など、奴にはないはずだからな」。そう思ってみたものの、機会があれば彼に謝ってもよいとさえ、Tは心に決めていた。
 ところがその機会は、とうとう来なかった。その夜、老人はサムライの作法に従って、ハラキリの儀式を挙行したからである。遺された美しい筆跡の遺書には、死の理由が記されていた。サムライとして理に適わない仕打ちを受けて、反撃を為し得ないのは恥辱であり、堪えるに忍びない。サムライは、そのような仕打ちを受けたのである。他の場合であれば、報復をなしえたであろうが、今回は余程事情が異なっていた。サムライの名誉の規範によれば、かつて借金の形にした刀を用いて、まさしくその金を貸してくれた相手を傷つけるなどということなどということは、出来ない相談だった。かくして、刀を振るうことが出来ないとなれば、残された道は、名誉の切腹を選ぶことしかなかったのである。
 読者の方々に、この不愉快な後味を和らげたいとお思いなら、Tがそこで本当に深く反省し、遺族に対し丁重に振る舞ったとお考えになってよい。しかし、老人がどういうわけであのような仕打ちを受け、また自らの死を招くような微笑を浮かべたのか、その原因についてTがついに悟るに至ったなどとは、決してご想像いただく訳にはいかないのである。



   『日本人の微笑』ラフカディオ・ハーン(小泉八雲) 著述 より引用

posted by サロドラ at 06:09| 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月25日

69∞LOVE 〜永遠の愛〜


12/24(thu)69∞LOVE〜six nine infinite loop love
〜 salon d'Orange music society live2015〜


 今回は『永遠』がライブのテーマでした。私達が本当は永遠を生きていること、音楽とはその永遠に手を触れる最高のツールであること、それを皆で体験すること… それがこのライブのテーマでした。

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まず69の炎で飾り付け

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本番前に秘儀を伝授。6と9が手を合わせた瞬間!

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さろどらによる時間-永遠-音楽についての講義を少しして‥

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そして会場の皆さん全員で、時を結ぶ赤い紐 ∞を指にVサインでライブ開始!

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THANK YOU ♥ from 6&9
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Elle est retrouvée,Quoi? ― L'Éternité.C'est la mer allée Avec le soleil("L'ÉTERNITÉ" Arthur Rimbaud)

 また見つけたよ 何を? 永遠を それは海と融け合う太陽さ ("永遠" アルチュール・ランボー)





この聖なる夜の奇蹟を、最愛の愛の化身 クリシュナ=9 & 最強の勇者 アルジュナ=6に‥



posted by サロドラ at 19:06| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月21日

フォースの覚醒


さて、フォースを覚醒しに行くか。

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久しぶりの博多なり。


まずはキャナルで開催されてるコンテストに決勝進出した研究生かずーこと林一穂さんの戦いぶりを応援&チェック。
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ふむ。

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3組のファイナリストの中では彼女の個性は傑出してる。

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優勝したバンドは万人受けの明るさや華があるのだけど、個性が決定的に無い‥。

レコード会社のプロデューサー諸君。よく言っておくぞ、技術や造形は後で伸ばせたり捻れても、個性や天性の感覚というものは後で伸ばす事など絶対に出来ない。
お前らができなきゃ、オレがやってやる。見とれ。万人を震わせるアート、芸術は大衆愚衆の最大公約数などでは決して無いことをオレ様が教えてやるわい。



***

グルメ・エンジェルのエレナに導かれて美味い葡萄酒が山のように……。。

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 さて、STAR WARS フォースの覚醒


 まずはIMAX3Dでいつもの最高ポジションで鑑賞。E-7席。Episode-7か?

 ふーむ。


 常宿にしてる近くのエレガントなホテルで休んで、今度は出来たばかりの4DX3Dにて最前列で鑑賞。

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 4DX3Dの映像や仕掛けはとっても素晴らしい。迎撃シーンで椅子が揺れ、雪のシーンでは雪が噴射され、地上戦シーンではきな臭い香りと煙が舞い、ライトセーバーのシーンでは剣を打ちおろす瞬間に光が照射され、ミサイルが飛んでくるシーンでは椅子の頭のあたりに強い風が噴射される。3Dの見栄えも進化していて、まるでメディアアート並みのシステムで、言うこと無し。

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 しかし………。。この映画はやればやるほどの最悪に空回ってる駄作である、と斬らずとも成功作とは言い難い。STAR WARSは人生を賭けて大ファンだし、監督のJJエイブラムスも超絶大ファンな私である、のに、だ。

 これはやはり会社を売却してもルーカス本人がやるべきだった。プロットの展開、カメラワーク、キャラクター、全て本道からズレてる。


 特にカメラワークは、もうちょっと勉強してくれ、と何癖つけたくなる程ひどい。


 映像作品の名作性とは、一コマ一コマの静止画の絵画的な素晴らしさに尽きるのだけど、延々2時間、TVドラマみたいなカメラワークじゃどうしようも無い。

 もしも、ルーカス本人のアートワーク並みでこの4DX3Dシステムなら、文句無しだろうさ。ハードが素晴らしくても肝心のコンテンツがダメじゃ意味無い。

 頼む、次回はルーカス本人にプロデュースを交代させて創ってくれ!!!! 


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 日本のアートワークを探しに。

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 ふふふ。これじゃこれじゃ。


posted by サロドラ at 16:15| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月11日

69∞LOVE ライブチケット


こちらは発売中の69∞LOVEのチケット。このライブチケットは69枚限定です。こんな謎に満ちた奇矯なライブ・チケットを創るのは人類史上オレ一人であろう。わははは! この謎と秘密は当日すべて明かされます。どうぞお楽しみにね。

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Hugoさんにサインしてもらった、その名も『Àngeles』というアルバム。この季節は天使達も忙しいようですな…。

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マルチカルチャリズムもいよいよ天と地を吹き飛ばす勢いの爆発寸前。地球の核‥、いや、宇宙の核の根源から全てを叩き変える強烈な爆発をさせてやる。

待っとれよ、そこら中の人類!!!

人間の永遠の秘密を、強烈な魂の感動と激震で強〜烈にぶつけて、全ての秘密の扉を開いてやるわ!!!!!!!




posted by サロドラ at 00:06| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月09日

筆ペン

年賀状の季節に因み、筆ペンと手紙の書き方の演習講義。

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極意。筆ペンは完全にブレの無い直筆(真直ぐに筆先を立てること)で書くなり。以上。

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posted by サロドラ at 06:09| 書道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月06日

69∞ 〜six nine infinite loop love〜


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http://www.salondorange.com/2015sdmlive.html

2015/12/24(thu)69∞ 〜six nine infinite loop love〜salon d'Orange music society live2015〜
SALONDORANJU MUSIC PRESENTS

open pm6:09 start pm7:09 ∞ pm9:09@Organ's Melody

ticket adv¥2000 door¥3000(+1dr order) info SALONDORANJU MUSIC tel 0839280389 

act

6: 松田まなみ(b)丸山智司(vo,ac-gt)辻翔太(b) 林一穂(vo,ac-gt)田村明(e-gt)ToWACoA(vo)

9: SALONDORANJU(vo,ac-gt,el-gt,key,b,dr,per,DJ,VJ-9parts instruments)





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