鬼界カルデラについて初めて知ったのはもう数年も前、大内さんが逝去された追悼ライブの折、楽屋でぼけ〜っとして「演奏する前に桜島でも眺めに行きたかったなぁ‥」などとふと呟いてたら、大内さん事務所を引き継がれた姉のご主人様が、何か突然、鞄から大きな地質学的な地図を取り出して、真剣な顔つきでワタシに説明をされ始めた。

その方は阿蘇の某施設の所長などをされてる本職の地質研究者で、いつもそんな地図を持ち歩いてるなんて、さすがプロの学者だな…と感心したのであるが、その内容は衝撃的で、鹿児島沖合の海中にある海底火山の噴火について、という件であった。
ニュースなどでは専門研究チームが船を出して海中火山の様子を調査しているのを極たまに見かけるが、トラフや富士山噴火ほどのあまり大きな注意喚起は、TV等一般メディアであまりされて無い様である。
その内容があまりにも絶望的過ぎてインフォメーションし辛い、…というのが真実ではなかろうか。
それは世界でもトップクラスの破局的な噴火(リンクは阿蘇噴火想定記事)で、しかも研究者的には、いつ起きてもおかしくはない、という海底噴火である。
トンガですら原爆の数百倍のエネルギーの爆発だった様だけど、このすぐ近くの海底火山はその遥か上の大きさで、今も溶岩は海中で吹き出し中で、エネルギーが凝縮過程にある、との事だった。
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ワタシは楽屋の机に広げられた地図を眺めて沈黙するしかなかった。。。
爆発は今日、明日かもしれないし、何十年後かもしれないし、何百年後かもしれず、案外何万年後かもしれず、こればかりは専門家でも予想が全く出来ないらしい。
そりゃ地球内部の詳細観察は今の技術ではまだ全然出来ないのだから仕方が無い。
ただ周辺の海の状態と、カメラを溶岩口近くに落として観察する、と言った表層のファクトを随時専門家チームは集めているらしい。
地球というもの自体が巨大な生き物なのだ、とワタシは思った。
I feel the earth,move,under my feet.なんてキャロルキングの古い歌がワタシの脳内を駆け回りもした。
思えば我々は、宇宙をぐるぐる廻ってる辺境の巨大岩生物に引力で無理矢理へばりついて、しがなく生きている極小の生物に過ぎぬ。
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九州あたりの神社、神道の歴史は、大和政権以前の本来の日本の宗教観を映した、古い神社が多い。それは関西、関東の神社とは根底から何かが違っている。
ワタシはそれらを見るのが好きで、数年前は夜中に突然電車に飛び乗っては古代の古墳や祭祀場を旅したものだった(今は病気のせいで全くできない)。その所行はもはや"古墳マニア"と言っても良い。

そういう場所を歩いていると、地元のタクシーの運転手さんなど親切な説明等をしてくれたりして、本には書いてないドメスティックな濃ゆい情報を聞きつける良質なフィールドワークになっていた。

実際に歩いて風景を肌で感じて眺めると、色々な事が見えてくる。地名の漢字、人々の名前、地元の言葉、地形………。

南九州は縄文時代にやはり破局的な噴火で一度滅んでいるのだけど、その経験の風説から、神社が祀られ、天地自然をなだめる、という意味合いの神社が実に多い。
人間が足を踏み入れてはいけない禁足地となってる神域は言わば結界で、現実に災害が起きてもその結界外ではヒトが生きていける臨界線となっている。
ゆえに御祭神の中心は、記紀神話に登場する神々とは違うものが多く、そちらこそが中心で、後づけの様に神話上の御神名が横並びに祀られている。
ワタシはその辺りに非常に興味を惹かれて導かれる様に、そういう場所をうろうろとしている事が多かった気がする。

それらの神域とは自然の脅威の中心となる危険な場所で、安易にそこに人間が入るな、という古代からの経験から来る智慧だった様である。

(どう見ても活火山の山肌)
しかし、そうした場所には何か特殊な磁場が働いているのも事実で、ワタシはいつもそれらを肌感覚で感じる。もしかしたら、それが温泉の様に身体に良い効果ももたらし、人々の病気が治ったりもした事があるかも知れない。

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トンガの噴火の時は、衝撃波が地球を廻ったらしいが、噴火数時間後に今まで経験した事が無い謎の全身の筋肉痛に似た傷みで、眠ることもできず、深夜で病院は開いておらず、、でかなり困った。
さらに翌々日は、学校の講義にでかけて終わって帰ろうとしたら、パニック障害の発作なのか何なのか、タクシーですら乗り続ける事ができず、途中で降りて歩こうかと思ったら、激しい動悸と目眩で歩く事もできなくなり、本当に困った。
5m歩いて止まってじぃ〜っと休み、を繰り返して、結局帰りつけるのに数時間かかった。凄く短い距離なのに…。。
おかげで行き倒れる危険を感じて心底恐ろしくなり、50m圏内だけをウロウロして生きている。
もう少し暖かくなれば、仮に途中で生き倒れて立ち往生しても死にゃしないだろう、と暖かい春を待つばかりである。
たぶんワタシは病気のせいで身体が過敏に成っていて健常な方より、身体が何かを敏感に察知する状態なのではないか、と思ふ。
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という訳で、九州南端の海底火山噴火の際には日本全体大変な事に成る(ってか死滅に近いが…)のだけど、水道、電気、ガスといったインフラが不能化しても、生き延びるサバイバル術を日々訓練することを日本全国民にワタシは強く推奨したい。。
人間の小賢しい人工的担保、保険の類いは、その規模では一切、消去される。

その際には再び原始時代に戻るのだ。

↑全然関係無いが天文館むじゃきの白くまは実に美味いものよ。