2023年10月23日

女神の九夜



 
インドではこの時期、女神を祀る祭祀で9日間過ごしています。



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 私も現地でそれを体験したことがありますが、眺めていると、玄関の前に魔除けの模様を描いたり、夜昼灯火をずっと灯したり、なかなかに風情があるもの、です。


 こんな風習が数百年ではなく数千年も続く文化、文明。


 日本で言うと、京都の大文字焼きや、精霊流しの様な風情と、どこかそれは似ていて、日本文化の根源はやはりかの地にすべてあるなぁ、と想いを寄せたり。


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 哲学でそれを観ずるなら、女神とは自然、自然元素の表象で、創造、維持、破壊を表象する三神に付随する女神をそれぞれ三日間ずつ、計九日間祀り、熱心な帰依者はその間は断食をしたり、節制をしたりします。



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 そうした祭祀によって、断ち切るのは様々な種類の『人間悪』。

 故にもっとも重要視されるのは破壊の神の女神、それは火の元素を司る女神で、神話の説話上は、神的恩寵によって、神も男も殺す事ができない悪魔的な存在を倒す為に、神の謀ごとで女神の姿で様々な武器を持つ神が顕れ、それを倒す、というものです。 



 まるでそれは人間(悪)と自然(善-神)の関係を説明している様で、とても面白く、そして興味深い。


 女神と九夜過ごした後、もっとも古い神話上の神、全世界の主祭神(悪魔との闘争の果てに倒す英雄)を祀る祭祀によって『絶対善』の勝利を祝祭して、一年が完結します。



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 日本の今のニュースを眺めていると、夏の異常な暑さで生態系が変化したからなのか、街中に熊が出てきて人を襲ったり、なんだり。


 熊も大変だろうけど、山でもない普通のそこらの街道を歩いていて襲われるのも、ちょっと……。


 しかし、かのインドの説話や祭祀を眺めて、自然への畏敬の念を、かつてはもっと持っていたであろう日本の文化を考えると、異常な夏の暑さと同じく、それもある種の人災にも思えます。

 
 勇壮な熊は山の自然そのもの、象徴なのだから。


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 そんなことをふと想いながら、言葉を棄て、この世界、その謎や神秘に想いを馳せ、九夜を灯火とともに静かに過ごしました。


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 偶然、ちょうど中日が、私の生命の旅路の生誕日。それが最初に始まってから137億年…。



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 しかし、その前後、どうにも煩わしい何かが周囲に。それをよくよく観察、洞察。


 その正体を、私は知っている。



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 思えば、人間悪、それは言語と共に始まった。


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 音楽というものはどこか天界的なもので、心惹かれてやまない深い理由ですが、言語にはどこか、有益な力と同じ質量の邪悪な力も備わり、またそれは、人間の驕りともどこか地下深くで繋がっています。それは切実な最後の人間の砦、壁。


 まだ文字も持たなかった古代の人々は、その特質、言語の境界壁に今よりも遥かに繊細だったのかも知れない。


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 と、過ごして九日目。

 これも偶然、旧暦の九月九日。重陽の節句。

 偶然ながらよく出来ているなぁ、、、と、感心しつつ、気が向いてふらりっと地元の女神様に参詣。



 神殿に到着すると、太鼓の音が鳴り響き、他に誰もいない中、大祓祝詞を宮司様が奏上されている。

 幽玄に響く音に聴き惚れて、頭を垂れて長い祝詞祭文をずっ〜と拝聴。


 耳を澄ませて聴くと、その物語中に、祓いごとの秘技が語られている。


 これまた、偶然に佳きものを聴きました。


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 非常に不思議な事に、なにか大事な祭り事の折、いつもこんな風に、まるで導かれたかのようによくよく立ち会う‥‥。(←なにも、考えておらぬ。)


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 そんなこんな、なにか黒い悪を倒す、さらに黒々とした女神に想いを馳せていたら、ふわり、と、、

 
 チベットのヒマラヤ山奥深くの大自然から、まるで宇宙の漆黒のような数億年の物体が手中に…。きっと、女神が黒い悪を倒したのでしょう。



 とても、素敵な九日間。




posted by サロドラ at 09:09| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする