2024年12月29日

今年を振り返ってみて


 
 辰年。


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 辰の文字は貝の象形で、動くという意味で、なんとかかんとか、などと書いて1年が始まってみたら、始まるその日に震災。空港は炎上。


 ん?


 で、始まり、更にその月に、山口市などという国内でも割とマイナーな都市がなぜか世界的注目を浴びる都市として紹介。


 ん??



 こりゃ、何かが動いておる。


 で、米大統領選は、トランプは銃撃されあわや即死を免れながらも、圧倒的勝利。国内は自民の裏金だなんだ、で、凋落。


 隣の韓国はアジア初の女性作家がノーベル文学賞受賞。かと思ったら、なんとこの時代に軍が出動する戒厳令。


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 ん???



 動いておる。どころの騒ぎではない、得体の知れぬ大騒ぎのこの世。


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 パンデミック終了の出来事としては、100年前もまぁ似たような混沌が支配していた事を思えば、歴史の胎動は古来から十二支の哲学通り、やはり循環し、繰り返しておるな、などと、妙に感心してみたり。



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 個人的には、去年の夏に罹患したコロナの後遺症らしき症状がなぜか半年も後になって吹き出してきたのか、初春から秋まで、人生で経験したことが無いような蕁麻疹との戦いと、罹患時にも起きた突然、体が動かせなくなる症状で、道端でぶっ倒れてみたり…。


 道端でぶっ倒れると、しかし、空って青いなぁ…、と。


 むか〜しから大好きなフランス文学の一節を思い出してみたり。 

 
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 パンデミックもいい加減、変な出来事だったが、それが終わると何が起きるか?という、これら一連の動きもまた、人生で経験できたことはある意味、得難い貴重な体験だった気も。


 せっかく生きているなら、あまり体験できない貴重な体験をできるだけ多くしたい、などとそもそも考えている性分な為、まぁなかなかに面白い1年ではありました。


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 ***


 だいたい、悪く見える出来事、って多くの場合、真反対の異常に良い出来事だったりする。


 反対に、全て良し。最高。…って状態は、好事、魔多し、とはよく言ったもので、やはり真反対の最悪な出来事、でもあること多し。



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  二元論を超越する思想、哲学については、10代の頃から何か心惹かれてやまぬ身からすれば、こうした善悪は、表裏一体の同一のもの、などという空恐ろしくも、至高の芸術を想起させる美しい考えもあるもので‥‥。


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 ま、いいや。(←全部これで片付けるオトコ)


 よく村上春樹作品に登場する◯◯くん、っぽいですな。



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 あ〜〜〜、いい年だった。


 きっと来年は、もっといいに違い無い。 


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posted by サロドラ at 07:07| 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月11日

クリスマスは山口市から



  旧暦の神無月の十日あまり…で始まる源氏物語 紅葉賀。


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  旧暦の神無月に歩いてみると、普通はもう紅葉で映える景色のはずが、まるで紅葉は紅くはなく、何か青々としています。



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  そのつい先日まで、なんと10月なのに真夏日、などという日もあったくらいで、紅葉も紅くなるのをためらっているらしく…。



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  で、一ヶ月待って、ようやくそろそろかな?と思って歩いてみました。




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  今年の山口市は年明け頃に、New York Times誌の今年旅行に行くべき52の場所、と銘打つ記事の3位に輝き、心底びっくりしたのですが、その記事の文章は、自分が普段生きる場所の半径数十メートルの小さな、そして良質なお店が紹介され、写真は、驚くほど美しい紅葉の参道に、和服女性が映える見事なPhotoで、そりゃこれ見たら、はるばる来たくもなるよなぁ…、と感心しきり。



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1位 北米の皆既日食

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2位 五輪開催のParis,France

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  しかし、この写真の場所、地元民からすれば結構穴場のような場所で、ここにこんな美しい場所が?と、少し意表を突かれる場所。ここも、まぁここから数百メートルの場所です。



 普通、地元的には紅葉を眺める、となると長門峡などで紅葉狩り、鮎でも食べて、などと思うものです。



 今年は改めて、そんな近くの、あまりに身近過ぎてあまり気づかない美観を、萌えるように紅く染まる紅葉ととも愛でたい…などと風流心をついそそられ、ゆっくりと歩いてみました。



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 この辺りは、子供の頃からの遊び場の一つ、よく知ってる筈の風景なのに、その同じ風景は、今、客観的に眺めるとまるで違う。


 建物の多くが変化してるせいもあるものの、やはり年齢や、自分の感性や、自分の積み重ねた何かの知性、技術や、、口ではうまく言えない大きな流れ、とでも言うものによるものなのか、それはまるで違う景色に見えるものです。


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 まずは蕎麦など食してみる。ここは明治時代から続く地元では一番古い蕎麦屋さんで、新蕎麦の香りがとにかく素晴らしい。


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 店を出て眺めた五重の塔は、なかなか紅葉の色も点在して見えるけれど、残念にも工事中の幕が張られ、なんともタイミングが残念。まさかこんな状況は誰も予想しなかった、と言う訳でしょう。



 そこから、古くからある平安京を模して碁盤の目のように形作られた大路をゆっくりと歩き、空気感を感じて見ると、ここはよく西の京、と喩えられるけれど、どう見てもこの風情は京都よりも、鎌倉の市街地にどこかそっくり。


 古都。


 やはり、それは何か急拵えてできた市街地とはまるで違う空気が満ちています。



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 で、世界でデビューした参道の風景。


 これは………………………………………………………。






 

 

 もう12月なのに、まだ全ては紅くはなく、八割ほど、でも赤、黄、緑、とグラデーションが掛かりかえって美しい……。


 なんと言うのか、その不思議な精気、自然が奏でる粒子のようなもの、なんとなくそこには神か精霊が宿るような気配…。


 思わず、黙り込んで、紅葉の下をゆっくり歩いてみました。




 しかし‥この萌えるような紅(くれない)は、何故こうも胸に染みるのだろう?
 

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 あまり人はいなかったものの、たまたまやって来た中東系?のような家族連れのお父さんが、思わずため息をついて「Beauty…」と声を漏らしていました。


 
 この参道は、大内氏の邸宅があった場所に、中世の時代に別の場所にあった寺院を移築してできた禅宗のお寺で、禅宗独特の古刹の雰囲気が漂っています。


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 京都ではなく、どこか鎌倉に似ているのは、市内の主要な名刹は禅宗の寺院が多いせいなのかも知れません。


 

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 で、この参道に入る入り口に、こじんまりした古民家があるのですが、ここは『善の研究』で知られる近代日本を代表する哲学者 西田幾多郎が山口に滞在中居宅した場所です。


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 この看板にある通り、西田幾多郎はここで初めて新訳聖書に触れ、キリスト教の世界に触れると同時に、赴任した山口高校の校長の影響で、禅に目覚めます。




 鎌倉にあるやはり禅宗の通称「あじさい寺」東慶寺にある西田幾多郎の墓所に、参禅したついでにゆっくり散策したりして幾度となく行ったことがあります。



 よく考えると、この人に縁のある場所に、特になんの意識もなく子供の頃からよくうろうろしてたもんだ、と、思いながら、ジィ〜と看板を読んでみたり。



 西田氏が山口高校に赴任したちょうどその頃、長い期間の禁教から解かれたキリスト教再興の機運も高まり、ザビエルが滞在した当時廃寺だった大道寺というお寺の跡地が発見され、そこに記念公園を造設したのですが、その造設をしたのが、詩人中原中也の祖父でした。



 何だか文学的な、不思議な縁です。



 で、その西田哲学。西田氏は京都大学の教授時代に、今では「哲学の道」として知られる小道で、沈思黙考して歩いたとのことですが、どこかこの周辺の道の雰囲気は、哲学の道の風景とも不思議とよく似てもいます。




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 さて、この場所で西田氏はキリスト教と禅に開眼する機縁を得た、と言うことなのですが、これもまた、奇縁というか何というのか、この参道の脇には小さな井戸があり、それは参道から出た通りに元はあった井戸で、この場所で、大内氏の許諾を得たザビエルは、日本で初めて正式にキリスト教、新訳聖書の説法を始めます。




 つまり、初めて日本でキリスト教を布教し始めたその場所は、禅宗の寺の脇で、そこで西田氏は後年「善の研究」に結実する思想転換を得た、という訳で…。




 そんなこんなを思いながら、この場所の空気に触れていると、確かにこの土地が醸す雰囲気には、何か独特の強制的な力、ある種のフォースに満ちた磁性のようなものがある…、と感じます。


 ある意味、ここは哲学、文学、霊性、とでも言った意味での強力なパワースポット、なのかも。


  

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 と、それこそ沈思黙考しつつ、そのすぐ近くの老舗外郎屋さんでお抹茶などを頂きつつ、和みました。




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 と、言うわけで、クリスマスは山口市から! という表題は、もっと詳しくは、奇しくも今年、突然に世界デビューを果たした、この場所(龍福寺 参道)から!! が正解。
 


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 で、まるで冗談みたいですけど、これが今年(正確には前年旧暦 お正月)の書き初め。


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 自分が新しく創造した音楽で、世界デビューぞ、うひょひょひょ。と思って揮毫したら、山口市が先にデビューしちゃった。


 わははは!!!!



 変なオチ。でした。


 
 
posted by サロドラ at 07:07| 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする