2008年06月09日

INLAND EMPIRE



http://www.inlandempire.jp/index_yin.html

 …観ました。遂に観ました。この2年待ちに待って、カンヌで好評を博し、東京では封切りに成ってる噂を固唾を飲んで待って、更に待ってやっと観ました。

  



     …凄すぎる…。






 本物の天才の円熟の境地とはこういうものなのか?

http://www.davidlynch.com/

 この公式サイト上で3疋のラビット映像を観た時から、これは凄いと思ったら、完成品はそんな凡人の思いを超越した更に凄いものでした。今迄のLynch作品のエッセンスの全てを最高レベルで集結した3時間(!)でした。観終わって、しばらく呆然として、その後に無性に笑ってしまった。



 新たなチャレンジが随所にあり、映像も全てデジタルなのだけど、デジタルの薄っぺらな画質が、本来はリンチ作品に絶対合わない筈が、その静止画の質感の薄さをリンチの才能の塊が、凌駕してる、そこにまず驚きました。

 映像特典のLynchのドキュメンタリーフィルムも、公式サイトで垣間見たものを更に深めていて興味深い。印象に残ったのは瞑想に対する彼の哲学と、それを創作ワークとリンクさせる方法論。



 例えば彼曰く、

 『普通は良い創作には苦しみがともなう、と考えられている。しかし、それは作品にその苦しみが映し出されてしまう。楽しい事、楽しむ事に直感で追随し、行為そのものを楽しめば、それが良い作品を生み出す。行為の結果ではなく、行為それ自体にこそ、喜びの源泉があり、その結果、良い創作品が生まれる。』

 これはインド哲学の究極、カルマヨーガを想起させます。
 
 これと全く同じ事を、今年のpat martinoの来日インタビューでも、pat氏が発言されていました。

 『自分の全ての行いに於いて、今、この瞬間の行為を全霊で行うのだ、』と。


 素晴らしい最高の結果を、実際に出すお二人が言う事なのだから、これが事実〜リアリズムなのでしょう。
 
 きっと、世の中の多くの結果が出せない人というのは、これと逆に、結果の為に行為をしたり、行為の充実を無視して、結果の果報ばかりを考える人でしょうね。

 そして、世に結果を具体的に出す人というのは、結果ではなく、行為そのものに喜びの実質を感じる人なのでしょう。


 ま、兎に角…、おそらく現代映画史、芸術史に残る、物凄い作品を鑑賞しました。リアルタイムでこの作品を観れる事を心底幸せに感じます。



 ps 全然関係無いけど、ネットで拾ったネコ画。なんて愛いやつ。


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posted by サロドラ at 00:00| 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする