2017年08月05日

水の色 墨の色



 "天然の力"にこだわる我々としては、今月は墨をつくる水をも極上天然水に変えて1ヶ月間、皆さまお稽古を。


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 水、と一言で言っても科学的な成分は、それぞれ含有物に大きな違いがあります。なにしろこの美しい神秘的な色の水は、その名も、学問技芸の神様、弁天様の水。地下から湧き出る湧き水は手が痺れるほどの冷たさで、ぶくぶく湧き出てるところから口に含んでテイスティングすると、味もとっても良い。日本本州の湧き水で、ここがベストno.1だと思います。

 なぜこの湧き水がこんな美しい色になるのか、科学的解析でもまだ謎のようです。


 まず今週は子供達はこの水で墨をすって、夏休みの学校のお習字課題を揮毫。





 墨の発色の色合いがやはり良い。これでさらには紙にまでこだわれば完璧ではないか、と。



 市販の墨液などでは出ない、線の動きの表情が墨の濃淡で全てあらわれるので、書く技術は難しくなるのですが、その色合いのナチュラルさは作品を並べて眺めてみても、目にとても優しい。

 これが墨液で書くと、ただ真っ黒で、濃淡は無く、陰影も無い、線の立体性がまったく無い、無表情な、そしてどこか下品な線になります。書作品で下品だな、って思う作品って、だいたい墨液で書いてあるのですね。


 普段は水道水を墨で擦って書いていますが、やはり差を感じます。京都の御香水も、これに似た感じでした。やはり名水と言われる水は、何か含有成分が違うのでは無いかと思います。

 そういう水で常に線を書いていると、筆運びが巧く成る。


 そうして、作品にえも言われぬ品格が漂う。




 クリエーティブな作業って、こうした、一見見落としてしまうディテールを詰めていく作業で、結果が大きく変わってくるのですが、文房四宝よりももっと大事なものは、こうした部分ではないかと思います。

 弘法、筆を選ばず。


 されど、水を選ぶべし…。



 我々の音楽などでは、ギターは選ばず。

 されど、電気を選べ…。

 
 …ですな。


 
 でも、何より身体としての技術、腕前。そして頭脳としての教養、知性。心としての魂の感受性。それがほぼ全体。


 ずいぶん以前にyoutubeに置いておいた音源でも貼っておきませう。






posted by サロドラ at 19:07| 書道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする