
twitterやら通信やらには最近つどつど記している事だけど、ヴィ二ール盤レコードの良さに打ち痺れる思いを日々していて、いかに私は(ってか多くの一般リスナー全員だと思うけど)デジタル音に無意識、無作為に飼い馴らされているのかを噛み締めています。
僕らの世代だとアナログ盤は音楽の原体験だった筈で、自分だって数百枚くらいはティーンの頃には所有し、しかもそれを大切にしたいが為にテープにまずダビング(ゲインを上げてナチュラル・テープコンプ状態)して普段はテープを聴いてたという世代です。
で、世界ではなんとアナログ盤復活どころかカセットテープ復活の潮流もかなり大きな波になってきていて、なんだこりゃ??と最初は驚いてたのだけど、今の現状、そうなって当たり前だと思うのです。
僕らよりもっと上の世代だと、何かレトロなノスタルジーできっと回帰してるのだろう、などと勘違いする人が多いですが、それはま、っ、た、く、完全に、パーフェクトに、間違っています。
音がやっぱり違うんです。
やっぱり、感動する。やっぱり、聴いてて涙出る。
たまたまこの記事を読む方に逆にワタシは質問したいが、最近、音楽をiphoneやらPCやら、ストリーミングやら、youtubeやら、と非常に便利でスマートな環境で贅沢な物量聴いてるのが当たり前で(自分だってそうだけど)、最近、音楽を聴いて、心底、涙したこと、震えるほど魂を持っていかれた事、現実にありますか?????
あぁ〜いいなぁ、とか、痺れるねぃ、程度はそりゃ普通によくあるだろうけど、それよりもっと深い音楽体験、ずばり、聴いてたらどうしても涙が出てしまう、という体験…。
特に自分はギター弾きだから、ギター音には異常なこだわり、世界観がそりゃ山の様に堆積してるが、今、若い人で真に弦を鳴らせてる人、見渡してもいないんですよ。モダンテクニック、ハイテクニックは進化してるのだけど、肝心の音楽を奏でる力という意味での巧さ、ミュージシャンとしての卓越という意味でのギター…特に、エレキギター。
ギターの真の難しさは、最高のトーンですべてのフレージングを弾ききる事に尽きるのであって、弦がまったく鳴らせていない状態で、陳腐極まりない音列をただ羅列する様なギター、音楽の機能性を無視した曲芸を見せるギター、などでは無い。
技術面で言うと、それらはアホにみたいに簡単なんです。
こんな物言いは、一見おっさんの戯言にしか聞こえん話に成りかねないが、そうではない。
何故なら、これはギターだけでなく、全ての楽器に通底して言える問題だから。
昨今のこうした現状は、極単純に音楽リスニング環境から来るもので、本当に良い音、本当に良いギタートーン、特にエレキギターの音、をデジタルドメインの世代は、体験した経験が無く、それに気がつく機会すら普段おそらく無い。
改めてヴィニール盤を聴いて、何より痛感したのでは、それでした。
そしてそれはロック系、ジャズ系、などラウドな音の音源の楽器類全てに言える。ドラムの金物、バスドラ、ベース、さらにはmoogなどのアナログシンセ類…。
さ、ら、に、ヴォーカル。 歌。
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今、音楽市場でアナログ盤やカセットに回帰してる世界の最先端のリスナーの多くは、音楽に対してシリアスでコアな若い世代です。昔を懐かしんでおっさん達がそういうブツを購入してる訳ではなく(ワタシの様なおっさん類もいるだろうが…)、それは特にiphone登場以降の世代に顕著な傾向だ。
それがこういう市場結果に数字になって表れている。一般人はspotifyやapple music。おれ音楽やってるぜ、ってな若い世代のコアな音楽ファンはアナログ側、ヴィニール盤、さらにはカセットテープに偏向している、と予想される。もう既に売り上げ数ではそれらがCDを両面から追い越してしまったのである。
https://hypebeast.com/jp/2020/9/vinyl-sales-outsells-cd-2020-riaa
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デジタルがプロのレコスタからPC環境を通して一般に成り始める90年代頃から、こうした顕著な対比が生まれ始めた、とワタシは見ているのだが、90年代の音楽シーンを生現場で体感してるかどうかで、この辺りがくっきり別れるのだろうと思われる。
当時、クラブでかかる音がCDだったら、幾らネタが良くても音がカッチカッチでもう興ざめだったりするのだけど、アナログ盤だと、もうずっしり来まくる、ってのは、あの頃クラブシーンで音楽を聴いてた世代なら誰でも体験がある筈。しかもそのネタは生演奏もの以上にテクノなどの電子音楽系が比重としては多かったのが皮肉な現象だったけれど、個人的にはレアな70年代の音源、ブラジリアン系(とりわけバイーア系)ものなどはそういうシチュエーションでは特に最高に好きでした。
今ではクラブカルチャー自体が衰退の極みで、それは風営法など色々理由があるけど、MP3や、CDJが主流化した頃とその衰退の次期が一致しているのを鑑みると、これは法律の規制で衰退したのではなく、今思えば単純に体験できる音が快楽ではなくなったのをリスナーがいち早く反応した結果ではないか?
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ワタシなどはそういう推移を現実に体験しておきながら、2000年期のipodからiphoneに続く音楽リスニング環境の変化は狂喜、歓喜の出来事で急いで飛びついては聴き漁ったものでした。まぁ何しろアルバムが何百枚もポケットに入るという素晴らしさ!!!! その贅沢感!!!!!その便利さ!!!!!!
そういう訳でCDも買わなくなり、ダウンロードで充分に満足し、場合によってはCDのサンプリングレートを上回る音で楽しめる音楽的極楽浄土の世界を堪能した10年と言えるのでしょうか。
そういう環境で高性能ヘッドフォンで聴くと、まるでレコスタでミックスのモニターしている時に近い超高音質で音楽体験できる訳で、特にアナログで聴き込んでいた時代の音源のミックスが、実はこうなってたのか…などと発見だらけだった記憶があります。
特にプリティッシュ系では、ジョージマーティンのプロデュースワークは凄いの一言で、音の配置、バランス、EQ、全てが完璧だったり、西海岸系では、スタジオの職人技の粋を極めるアウトボードの使い方など、聴けば聴くほど学びになったものでした。
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…と、しかし、ここに来て、ぐるりっ、と一回転してアナログが別の意味を持ち始めた。デジタルがそこまで進化したからこそ、現時点でのデジタルの限界も明確に成り始めた、という訳でしょうか。
勝手にリンクさせて頂きますが、このページなど非常に良い視点で記事を書いてらっしゃる。
http://1overf-noise.com/record/record-vs-cd/
途中のクロマニヨンズの映像は、まさに卓見としか言いようがない。理屈抜きで、いい。彼らはそう言いきってる。音の直感だけでしかモノを言ってないところに潔さがありますが、理屈を精査すれば、音域や周波数など、このページにも書いてあるけど、それは現実あるでしょう。さらには数値化できないXファクター、とでも言うべきもの、主にそれは倍音の鳴り方などになると思うけど、これなんぞ、まさにエレキギター弾きが一生、これに悩み苦しむ問題でして……(苦笑)
エレキギターの音というもの自体が、電気的には全て間違いで出来上がってるものなのだから、そら、当たり前。
我々、その間違いにこそ、痺れに痺れて、ギターを弾き始めた人種なんだから。
上記のハイロウズの音源制作のヴィニール盤をさらに録音してデジタル化してる、などとは周波数帯の数字上完全に間違いな筈なんだけど、自分でも何度も実験を重ねた結果、そうとも言えない。
例えば、これも勝手にリンクを貼りますが、アナログシンセ音とアナログテープでできたYMOの名作を、ヴィニール盤でかけて聴く方はデジタル音、という状況だけど、この音はCDともリッピングしたyoutubeとも違い、確かに良い。気持ちいい。(ライディーンの後半部なんぞ涙ものの美ではないか?? 続くカスタリアなんぞは言葉も出ぬ。)
ちなみにこちらyoutube(音、硬過ぎ………こりゃ神経痛みたいな音やんけ。。)
で、改めてヴィニール盤を入手して(数百円だった…笑)ヴィニール盤直音かけて見ると……………。
実に素晴らしい。高温の伸び、煌びやかさ、これはCDやダウンロードでは聴けなかった生きた音!!!(普段このアルバムは長年CDで聴いてたし、今はダウンロード音源を聴いてる事がほとんど)。
電子音楽でこれなのだから、奇妙な現象だけど、元がデジタルシンセではどうなのか???
(これはまだ実験が足らないので何も言えない。ってかその種のヴィニール盤を持ってない、が、、自分の参加音源などのヴィニール盤などを聴く限り………あまりアナログ効果がある気はしない…かも………。。。)
…んな訳で、iphoneもCDももはや聴く気がしなくなった訳です。。。だって全然、涙出ないもの。。
ビートルズ世代でも無けりゃ、ビートルズファンでも、信奉者でも無いのだけど…………
理屈抜きで、涙出る。。。ノイズだらけでも、関係無し。これが当時、ビートルズのリアルタイム体験そのものだった筈でしょう。CDで誰がどうリマスタリングしても、これは確かに、絶対に再現できない。。
http://www.salondorange.com/let%20it%20be%20blogSmall2.mov
http://www.salondorange.com/long%20and%20windeingblogSmall2.mov
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https://twitter.com/SALODORA/status/1321931940665044992

http://www.salondorange.com/zep.m4a
(一応釘刺しとくが、ka素羅ツクよ、これは著作権法を巧妙にすり抜けているのであって、文句あるならどつき合いの喧嘩をいつでもしてやるぜ、よろぴくな)