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春の自粛期間中、仕事が消えてやたら暇でふらり、と立ち寄った楽器屋にてi君と立ち話してて、機材動画でも撮影しよう、と思い立ちすぐに撮影。
スタジオは誰〜もいないし、オーナーのyさんによると収益は激減して普段の9割減との事で、協力も兼ねてステージを借り切って、機材を並べあげて撮影。(これでもi君の所有機材の1/3程度らしいです…笑)
普段、ギターのリペアでi君にはこの10年くらいお世話に成っていて、i君のギターテクニシャンとしての腕前もこの動画で披露できたら良いなぁと思いました。
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編集してて思ったけど、やはり最高の生鳴り、空気の振動そのまま、は録音できない、という我々音楽制作者には重要な問題。不可能がゆえにどう録音媒体で加工して聴かせるか、という技に就いて。これはまだまだ開発の余地がある。
ただ動画の為に簡単にやるなら、生で鳴らさずライン直で加工すれば、もの凄く簡単なのだけど、それだとやってるこっちが面白く無い。ライブで勝負できる生音にあくまで主眼を置きたい。
音楽の主体はあくまで生の音楽で、録音作品が先行する、というのはワタシの音楽美学に反する。
写真で綺麗な美女でも、生で眺めたらなんだこりゃ?じゃぁしょうがない訳です。その逆、生で眺めたらもの凄く美しい…でもこれは撮影自体が不可能…というのが、美の、芸術の、artの命題だとワタシは考えているからです。こうした逆転を平気でするクリエーターをワタシは一切信用しないし、舐めるなよ、おまえ、…と、思います。
こういう人種…、彼らは"何を舐めてるか?"、そこが大事。
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何の楽器音でも問題は結局同じだけど、特にエレキギターの音、それも歪み系の音、の録音の難しさ…。対して、アコギはそこまでは難しくは無いのです。マイク処理だけで充分良い音を補完できる。(逆にアコギはライブの生音がエレキより遥か〜に難しいけど…)
これは元々、間違った過剰で過負荷な電気回路によって美音を創るエレキギター特有の問題で、例えばエレキギターの『クリーントーン』は、実際の電気的、オーディオ的な意味の"クリーントーン"では全然無く、かなり偏った歪み方をしているのをクリーントーンの良い音だ、と我々は感じている。
この数ヶ月アナログ盤面の音で研究したのも、結局この辺りの事。オーディオ上の良い音が、必ずしも音楽上の良い音ではない。
そして、さらに難しいのはクリーントーンではなく、歪み系の音で、本当の良いギターの歪み音、これは音楽体験が深い人、現実の生音楽体験の経験をかなり積んでる人、で無いと、『良い音とは何か?』自体が全く解らない問題だったりする。
これは数値的に解析するなら音色の倍音構造で説明できる筈だけど、敢えてそんな事はしない方が良いでしょう。
アンプシュミレーターの開発プログラマーなら結構これをやって成功している良いアプリもあるし、それはそれで便利だけど、やはり最後は何処か虚しい。長年弾いてる人ならこの心情は解ってもらえると思う。
だからこそ名機真空管アンプをずらりと並べあげて、敢えてオフマイクで、空気感を素で録音するように工夫したけど、自己採点はかな〜り低い…。。
これがライブ現場だとしたら、凄くいい音、胸震える音、が鳴らせていた、とも思います。
今回の動画は、このあたりを御視聴して頂ければ面白いのではないか、と。
ジャパンヴィンテージ、最強!!!